家紋の意味
矢筈(やはず)の家紋の意味と由来
矢の後ろの端、弓の弦にかける部分を「矢筈」と言います。その切り込みの形をかたどった家紋が矢筈紋です。武士の道具にちなんだ紋に込められた意味や由来、紋の種類と見分け方をやさしく紹介します。
矢筈紋の意味と由来
矢筈紋(やはずもん)は、矢の末端にある「矢筈(やはず)」をかたどった家紋です。
矢筈は、矢を射るときに弓の弦(つる)をかける部分です。V字やU字のような切り込みがあり、ここに弦をかけて引きしぼります。この部分がしっかりしていないと、矢はまっすぐ飛びません。
弓矢は、昔の武士にとって大切な武具でした。武士のことを「弓取り」と呼んだり、武家の家柄を「弓矢の家」と言ったりしたほどです。
矢筈は、矢がねらいどおりに飛ぶための要(かなめ)となる部分です。そのため、矢筈の紋には「的を外さない」「物事をしっかり成し遂げる」という意味が込められていると考えられます。武家に好まれた紋だと言われます。
なお、着物の柄でよく見る「矢絣(やがすり)」も、矢羽根の形を並べた模様で、弓矢にちなんだ縁起のよい柄とされてきました。
また、矢をつがえるときに弦がしっかりかかることから、「物事がうまくかみ合う」ことにも通じると受け取れます。準備を整えて確かに事を運ぶ、という心構えを表す紋ともいえるでしょう。
矢筈紋の形と種類
矢筈紋には、数や組み合わせ方によっていくつかの形があります。主なものを紹介します。
- 矢筈:矢筈を一つ描いた、基本の形です。
- 違い矢筈:二つの矢筈を斜めに交差させた形です。
- 丸に矢筈:矢筈を丸で囲んだ形です。
- 三つ矢筈:三つの矢筈を組み合わせた形です。
- 並び矢筈:二つの矢筈を並べた形です。
矢筈紋を見分ける目印は、先が二股に分かれた切り込みの形です。全体としてはV字や、口を開けたような形に見えます。
弓矢にちなんだ紋には、矢そのものを描いた矢紋や、矢羽根に使われた鷹の羽を描いた鷹の羽紋もあります。矢紋は矢の羽根や矢じりまで描かれ、鷹の羽紋は羽の筋がはっきり描かれます。切り込みの部分だけを取り出した形なら矢筈紋です。
小さな墓石の紋では区別がつきにくいこともあるので、写真に撮って拡大して見るのもよい方法です。
矢筈紋を使ってきた家
矢筈紋は、家紋の中では数が多いほうではありません。特定の有名な一家の紋として広く知られているというより、いくつかの家で使われてきた紋です。
使われる家としては、苗字に「矢」の字が入る家、たとえば矢部・矢作・矢内などの家で、名前にちなんで弓矢の紋を使う例があるようです。家紋は、苗字の字や響きにあやかって選ばれることがよくありました。
また、弓矢は武士の象徴だったため、武家が弓矢にちなんだ紋を好んで選んだとも言われます。弓矢の神をあがめる神社とゆかりのある家が選ぶこともあったと考えられます。
ただし、矢筈紋を使っているからといって、特定の家の子孫だと決めることはできません。家紋は家ごとの事情で選ばれ、分家のときに形を変えることもありました。
自分の家の紋が矢筈なのか、矢紋や鷹の羽紋なのかは、家ごとに違います。お墓の墓石や、紋付きの着物で実際の形を確かめるのがいちばんです。
矢筈が出る苗字
継紋で苗字を入れたとき、矢筈が候補に出る苗字の一部です。リンクのある苗字は、その苗字の家紋の記事に進めます。
※ 苗字に多い紋の目安です。同じ苗字でも、家ごとに紋は違います。
よくある質問
Q. 矢筈とは矢のどの部分ですか?
矢の後ろの端にある、弓の弦をかけるための切り込みの部分です。ここに弦をかけて引きしぼり、矢を射ます。
Q. 矢筈紋にはどんな意味がありますか?
矢がねらいどおりに飛ぶための要の部分であることから、「的を外さない」「物事を成し遂げる」願いが込められていると考えられます。
Q. 矢筈紋と矢紋はどう見分けますか?
矢紋は矢の羽根や矢じりまで描かれます。矢筈紋は、先が二股に分かれた切り込みの部分だけを取り出した形です。