家紋の意味
桜(さくら)の家紋の意味と由来
春を告げる桜は、家紋にも使われてきました。五枚の花びらを並べた「桜紋」は、かわいらしさの中に凛とした美しさがあります。込められた意味や種類、梅紋や撫子紋との見分け方をやさしく紹介します。
桜紋の意味と由来
桜紋(さくらもん)は、桜の花をかたどった家紋です。五枚の花びらを丸く並べた形が基本です。
桜は昔から日本人にとって特別な花でした。春に咲く桜は、田植えなど農作業の始まりを知らせる木でもあったと言われます。「さくら」の「さ」は田の神を表し、「くら」は神が宿る座を表すという説もあります。
平安時代には、花といえば桜を指すほど親しまれるようになりました。いっせいに咲いて、いさぎよく散る姿は、美しさとはかなさをあわせ持つものとして、和歌にもたくさん詠まれています。
家紋としての桜には、こうした美しさや、いさぎよさへの思いが込められていると考えられます。一方で、すぐに散ってしまう花であることから、戦国時代の武家にはあまり好まれなかったという説もあります。そのため、桜紋は家紋の中では数が多いほうではないと言われます。
桜の花は、日本の象徴として今も多くの場面で使われています。学校の校章や記念の品にも桜の形がよく見られ、家紋の桜もこうした親しみの中で受け継がれてきました。
桜紋の形と種類
桜紋には、花の描き方を変えたものや、葉や枝を添えたものがあります。主なものを紹介します。
- 山桜(やまざくら):花びらの間から、がく(花の付け根の部分)がのぞく形です。
- 八重桜(やえざくら):花びらを二重に重ねた、豪華な形です。
- 丸に桜:桜の花を丸で囲んだ形です。
- 裏桜(うらざくら):花を裏側から見た形で、がくが大きく描かれます。
- 陰桜(かげざくら):花の輪郭だけを細い線で描いた形です。
- 枝桜:花に枝や葉を添えた形です。
桜紋を見分けるいちばんの目印は、花びらの先の小さな切れ込みです。桜の花びらは先が少しへこんでいます。梅紋も五枚の花びらですが、梅の花びらは丸く、切れ込みがありません。
撫子(なでしこ)の紋も五弁ですが、花びらの先がギザギザに細かく割れています。先端の形を見比べると、桜・梅・撫子を区別しやすくなります。
桜紋を使ってきた家
桜紋は、多くの家で代々の紋として使われてきたというより、限られた家で大切にされてきた紋だと言われます。
苗字に「桜」の字が入る家、たとえば桜田・桜井・桜庭などの家では、名前にちなんで桜紋を使う例があるようです。家紋は、苗字の字や響きにあやかって選ばれることがよくありました。
また、桜を神木とする神社とゆかりのある家や、桜の名所がある土地の家で、桜紋が選ばれることもあったと考えられます。富士山の神として知られる木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと)は、桜と結びつけて語られることの多い神さまです。
ただし、桜紋を使っているからといって、特定の家の子孫だとは言えません。家紋はそれぞれの家の事情で選ばれ、時代とともに変わることもありました。
自分の家の紋が桜紋なのか、梅紋や撫子紋なのかは、家ごとに違います。お墓の墓石や、紋付きの着物で実際の形を確かめるのがいちばん確実です。
桜にゆかりの神社・寺
富士山本宮浅間大社
静岡県富士宮市
桜を神木とし、木花之佐久夜毘売命を祀る。全国の浅間社の総本宮。
桜が出る苗字
継紋で苗字を入れたとき、桜が候補に出る苗字の一部です。リンクのある苗字は、その苗字の家紋の記事に進めます。
※ 苗字に多い紋の目安です。同じ苗字でも、家ごとに紋は違います。
よくある質問
Q. 桜紋と梅紋はどう見分けますか?
花びらの先を見ます。桜は先に小さな切れ込みがあり、梅は丸くて切れ込みがありません。どちらも五枚の花びらです。
Q. 桜の家紋は珍しいのですか?
散る花であることから武家にはあまり好まれなかったという説があり、家紋の中では数が多いほうではないと言われます。
Q. 山桜と八重桜の紋の違いは何ですか?
山桜は花びらの間からがくがのぞく形です。八重桜は花びらを二重に重ねた形で、より華やかに見えます。