家紋の意味
撫子(なでしこ)の家紋の意味と由来
花びらの先が細かく裂けた、可憐な家紋が「撫子紋」です。秋の七草のひとつとして古くから親しまれた花で、やさしさと強さをあわせ持ちます。名前の意味や由来、紋の種類と、桜紋・梅紋との見分け方を紹介します。
撫子紋の意味と由来
撫子紋(なでしこもん)は、撫子の花をかたどった家紋です。瞿麦(なでしこ)という字で書かれることもあります。
撫子は、萩・尾花(すすき)・葛(くず)などと並ぶ「秋の七草」のひとつです。『万葉集』にも撫子を詠んだ歌が多く残っており、古くから日本人に愛されてきた花です。
名前は「撫でるようにかわいがる子」という意味からきているとされます。小さく可憐な花の姿が、大切に慈しむ子どもを思わせたのでしょう。
一方で、撫子は河原や乾いた土地でもしっかり花を咲かせます。見た目のやさしさと、厳しい場所でも育つ強さをあわせ持つ花です。
家紋としての撫子には、家族や子どもを大切に思う心や、しなやかな強さへの願いが込められていると考えられます。平安時代には装束の色の組み合わせにも撫子の名がつけられるなど、上品な花として扱われました。
撫子は、和歌の世界では「とこなつ」という別名で詠まれることもありました。長い期間にわたって花を咲かせることから、この名がついたとされます。
撫子紋の形と種類
撫子紋には、花の描き方や組み合わせによっていくつかの形があります。主なものを紹介します。
- 撫子:五枚の花びらを丸く並べた、基本の形です。
- 丸に撫子:撫子の花を丸で囲んだ形です。
- 八重撫子:花びらを二重に重ねた、華やかな形です。
- 石竹(せきちく):中国から伝わった撫子の仲間・石竹をかたどった形で、撫子紋の一種として扱われます。
- 陰撫子:花の輪郭だけを細い線で描いた形です。
撫子紋を見分ける目印は、花びらの先です。撫子の花びらは、先がギザギザと細かく裂けています。
同じ五枚の花びらの紋には、桜紋と梅紋があります。桜は花びらの先に小さな切れ込みが一つあり、梅は先が丸くなっています。先が細かく何本にも割れていれば撫子紋です。
小さな墓石の紋では細部がつぶれていることもあるので、近くでよく見たり、写真を拡大したりして確かめるとよいでしょう。
撫子紋を使ってきた家
撫子紋は、家紋の中では数が多いほうではありません。特定の有名な家の紋として広く知られているというより、限られた家で大切に使われてきた紋です。
使われる家としては、苗字に「撫子」や「瞿麦」の字が入る家など、名前にちなんで選んだ例が考えられます。家紋は、苗字の字や響きにあやかって選ばれることがよくありました。
また、可憐で上品な花の紋なので、女性が嫁ぎ先に持っていく「女紋(おんなもん)」として撫子を選ぶこともあったと言われます。女紋は地域によって習わしが違い、母から娘へ受け継がれることもあります。
ただし、撫子紋を使っているからといって、特定の家の流れだと決めることはできません。家紋は家ごとの事情で選ばれ、時代とともに変わることもありました。
自分の家の紋が撫子なのか、桜や梅なのかは、花びらの先をよく見るとわかります。お墓の墓石や、喪服・留袖など紋付きの着物で実際の形を確かめるのがいちばんです。
撫子が出る苗字
継紋で苗字を入れたとき、撫子が候補に出る苗字の一部です。リンクのある苗字は、その苗字の家紋の記事に進めます。
※ 苗字に多い紋の目安です。同じ苗字でも、家ごとに紋は違います。
よくある質問
Q. 撫子紋と桜紋はどう見分けますか?
花びらの先を見ます。撫子は先がギザギザと細かく裂け、桜は先に小さな切れ込みが一つだけあります。
Q. 「撫子」という名前の意味は何ですか?
「撫でるようにかわいがる子」という意味からきているとされます。可憐な花の姿を、大切な子どもにたとえた名前です。
Q. 石竹の紋は撫子紋の仲間ですか?
はい。石竹は中国から伝わった撫子の仲間の花で、家紋では撫子紋の一種として扱われます。