家紋の意味
蜻蛉(とんぼ)の家紋の意味と由来
四枚の羽を広げたとんぼをかたどった家紋が「蜻蛉紋」です。前へ前へと進む姿から「勝虫(かちむし)」と呼ばれ、武士に好まれました。意味や由来、紋の種類と見分け方、どんな家で使われてきたかを紹介します。
蜻蛉紋の意味と由来
蜻蛉紋(とんぼもん)は、とんぼをかたどった家紋です。
とんぼは、前に向かってまっすぐ飛び、後ろに下がらないと言われてきました。そこから「退かない」「負けない」という意味が込められ、「勝虫(かちむし)」と呼ばれるようになったとされます。
そのため戦国時代の武士たちは、とんぼを縁起のよい虫として好みました。兜(かぶと)の飾りや、鎧(よろい)の模様、刀のつばなどにも、とんぼの意匠が使われたと言われます。
とんぼは、日本とも深い関わりがある虫です。古くはとんぼを「あきつ」と呼び、日本の国を「秋津島(あきつしま)」と呼ぶことがありました。『日本書紀』には、天皇の腕を刺した虻(あぶ)をとんぼがくわえて飛び去った、という話が伝えられています。
家紋としての蜻蛉には、前へ進み続ける心や、勝ちへの願いが込められていると考えられます。
秋の田んぼの上をたくさんのとんぼが飛ぶ景色は、実りの季節を知らせるものでもありました。とんぼは豊作を表す虫として喜ばれたとも言われます。
蜻蛉紋の形と種類
蜻蛉紋には、とんぼの向きや数によっていくつかの形があります。主なものを紹介します。
- 蜻蛉:一匹のとんぼを上から見た形で、頭を上にして描くことが多いです。
- 丸に蜻蛉:とんぼを丸で囲んだ形です。
- 向かい蜻蛉:二匹のとんぼを向かい合わせた形です。
- 三つ蜻蛉:三匹のとんぼを輪のように組み合わせた形です。
- 蜻蛉の丸:とんぼの体や羽を丸い形にまとめた形です。
蜻蛉紋を見分ける目印は、左右に二枚ずつ、合わせて四枚の細長い羽と、まっすぐ伸びた細い胴体です。頭には大きな目が二つ描かれます。
虫の紋には、蝶(ちょう)の紋もあります。蝶は羽が丸く大きく、触角が描かれることが多いです。羽が細長くまっすぐで、胴が長く伸びていれば蜻蛉紋です。
蜻蛉紋を使ってきた家
蜻蛉紋は、家紋の中では数が少なく、珍しい紋だと言われます。特定の有名な家の紋として広く知られているわけではありません。
使われる家としては、苗字に「蜻蛉」の字が入る家など、名前にちなんで選んだ例が考えられます。家紋は、苗字の字や響きにあやかって選ばれることがよくありました。
また、「勝虫」の縁起から、勝ちを願う武家が紋や持ち物の模様に取り入れたとも言われます。家の紋そのものではなくても、着物や道具の柄としてとんぼを好んだ家は多かったようです。
ただし、蜻蛉紋を使っているからといって、特定の家の子孫だと決めることはできません。家紋は家ごとの事情で選ばれ、時代とともに変わることもありました。
自分の家の紋がとんぼなのか、蝶などほかの紋なのかは、家ごとに違います。お墓の墓石や、紋付きの着物で実際の形を確かめるのがいちばんです。古い品が残っていないか、親戚にたずねてみるのもよいでしょう。
蜻蛉が出る苗字
継紋で苗字を入れたとき、蜻蛉が候補に出る苗字の一部です。リンクのある苗字は、その苗字の家紋の記事に進めます。
※ 苗字に多い紋の目安です。同じ苗字でも、家ごとに紋は違います。
よくある質問
Q. とんぼが「勝虫」と呼ばれるのはなぜですか?
前に向かって飛び、後ろに下がらないと言われてきたためです。「退かない」姿が勝ちに通じるとして縁起がよいとされました。
Q. 蜻蛉紋と蝶紋はどう見分けますか?
蜻蛉は細長くまっすぐな羽が四枚あり、胴が長く伸びています。蝶は羽が丸く大きく、触角が描かれることが多いです。
Q. 蜻蛉の家紋は珍しいのですか?
家紋の中では数が少なく、珍しい紋だと言われます。兜や道具の模様としては、武士に好まれたとされます。