家紋の意味
三つ引両(みつびきりょう)の家紋の意味と由来

三つ引両は、丸の中に太い横線を三本引いた、とてもシンプルな家紋です。飾りのない形だからこそ、武家の格や潔さを表すと考えられてきました。この記事では、三つ引両の意味と由来、引両紋の種類、使ってきた家を紹介します。
三つ引両の意味と由来
引両(ひきりょう)紋は、太い線を引いただけの、とても単純な形の家紋です。三つ引両は、その線が三本のものを指します。
何を表した紋なのかについては、いくつかの説があります。ひとつは、「両」を「龍(りょう)」に通じるものとして、龍を表したという説です。龍は天に昇る力強い生き物として、武家に好まれました。
もうひとつは、戦の陣地に張りめぐらせた陣幕(じんまく)に由来するという説です。陣幕には横の筋が入っていて、それが図案化されたと考えられています。また、陣幕の引き手(手でつかむ部分)が元になったという話もあります。
どの説も確かなことはわかっていませんが、引両紋が武家と深くかかわってきた紋であることは広く知られています。余計な飾りがなく、潔いほど単純な形は、かえって家の格の高さを示すものと受け取られたと言われます。遠くからでも見分けやすいことも、旗印に向いていたのでしょう。
三つ引両の形と種類
引両紋は、線の本数と向き、囲みの有無で種類が分かれます。三つ引両は、丸の中に三本の横線を引いた形が基本です。
主なバリエーションには、次のようなものがあります。
- 一つ引両:線が一本の形。丸の中を太い一本線で区切ったものは「大中黒」とも呼ばれます。
- 二つ引両:線が二本の形。足利氏の紋として知られます。
- 三つ引両:線が三本の形。
- 丸に二つ引・丸に三つ引:丸の中に細めの線を引いた形。
- 竪引両:線を縦に引いた形。
見分けるときは、まず線の本数を数えます。次に、線が横か縦か、線が太くて丸いっぱいに広がっているか、細めの線か、を確かめてください。引両紋は単純なぶん、線の太さや間隔のちょっとした違いで、家ごとの個性が出る紋です。
また、引両紋は着物や墓石では細部がつぶれて見えにくいことがあります。写真を撮って拡大すると、線の本数や太さが確かめやすくなります。
三つ引両を使ってきた家
引両紋は、鎌倉時代から室町時代にかけての武家で多く使われたと言われます。中でも、室町幕府を開いた足利氏の二つ引両はよく知られています。足利氏の館跡に建つ栃木県足利市の鑁阿寺(ばんなじ)も、引両の紋にゆかりのある寺です。
三つ引両は、相模(今の神奈川県)の三浦氏の紋として知られます。三浦氏は鎌倉時代に大きな力をもった一族で、その流れをくむとする家々で三つ引両が伝えられたと言われます。また、新田氏は一本線の「大中黒」で知られます。
ただし、引両紋を使っているからといって、足利氏や三浦氏の子孫と決めることはできません。引両紋は形がシンプルで、多くの家に広がった紋です。同じ苗字でも、家ごとに紋が違うことはよくあります。
家紋は家ごとに違うので、ご自分の家の紋を知りたいときは、お墓の墓石や、喪服・留袖などの着物に入っている紋を確かめるのがいちばんです。線の本数と向きも、あわせて確認してみてください。
三つ引両にゆかりの神社・寺
鑁阿寺
栃木県足利市
二つ引両を用いた足利氏の館跡に建つ寺。一族の氏寺にあたる。
三つ引両が出る苗字
継紋で苗字を入れたとき、三つ引両が候補に出る苗字の一部です。リンクのある苗字は、その苗字の家紋の記事に進めます。
ほかにも多くの苗字で出ます。
※ 苗字に多い紋の目安です。同じ苗字でも、家ごとに紋は違います。
継紋のキャラクター|一文字の将

「三本引いた。これより後ろは、無い。」
継紋では、三つ引両の紋を擬人化したキャラクター「一文字の将」に会えます。
無骨で言葉が少ない。飾りを憎み、結果だけで語る。決めたら退かない、それだけの男。
線を引いた。越えるな。
よくある質問
Q. 引両紋の線は何を表していますか?
龍を表すという説や、陣幕の筋や引き手を図案化したという説があります。どれが正しいかははっきりしていませんが、武家に深くかかわる紋とされます。
Q. 三つ引両と二つ引両の違いは何ですか?
線の本数が違います。三本なら三つ引両、二本なら二つ引両です。二つ引両は足利氏、三つ引両は三浦氏の紋として知られます。
Q. 三つ引両なら三浦氏の子孫ですか?
そうとは限りません。三つ引両は三浦氏の紋として知られますが、ほかの家でも使われてきました。紋だけで血筋は決められません。